君は平成女児ステッカーを知っているか?
僕が子供の頃、女の子たちの間でシール帳が流行っていた。各々が持ちあったかわいいシールを交換して、自分のシール帳に貼ってコレクションするのだ。シールは次第に進化し、単なる平面から立体物になっていくと、シール交換は更に激化。自分たちの可愛いが手元に集まれば集まるほど、彼女たちのシール帳は分厚く膨れ上がっていった。辞書かと思うぐらい厚くなったシール帳を持ち歩いている人もいた気がする。
そう、世はまさにシール戦国時代だった。
今となっては何だそれ?な行為かもしれないが、当時の女の子たちは確実にそれを楽しんでいたし、なんなら僕もたまにおこぼれを貰って楽しんでいた気がする。あのシールたちは一体どこに行ったのだろう…?
中華偽平成ギャル女児ステッカー

実は今、中華通販の魔境AliExpressでは平成女児ステッカーがアツい。どう見ても版権を無視してそうなステッカーはもちろん、あの頃流行った立体ステッカーや、ラメ入りのキラキラしたステッカー、蓄光塗料で光るステッカーなど、2000年代を生きた僕らには懐かしいステッカーが所狭しと並んでいる。中国は今、日本から20年遅れてファンシー文化が到来したらしい。
僕も見ていて懐かしくなったので、一つ買ってみた。

な に こ れ
あのころのりぼん・マーガレット・ちゃおには絶妙に出てこなさそうな平成女児ギャル。怪しすぎる日本語。青いです(どう見ても赤い)。どこから突っ込んでいいのかわからない。
平成女児ステッカーじゃなくて、中華偽平成ギャル女児ステッカーだ。

死地に陥れて後生く
これを買ったのもきっと若気の至り。いまさら悔やんでも仕方がないから、無数の明日に向かってふかみにはまろう。

どうでもいいけどこのステッカーセット、実は本の形になってる。

第1回 自分が生きる人生を愛せ

なんか右下に聞き覚えのある夏っぽい詩が載ってる。

PSPっぽいゲーム機。パカパカのガラケー。デコられまくったブラウン管のパソコン。それと褐色女児。

ギリギリ令和の曲っぽいフレーズが混ざってるのが気になる。

「闇があるから光がある。」そして闇から出てきた人こそ…

頼むからラブレターの返事をしてください。

人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない。

僕の記憶にはないタイプの青春。

青いですのページは以外にも青かった。

配色センスの鬼。

実は平成だけじゃないことがわかるページもある。

落下枝に帰らず、破鏡再
~~び照らさず~~

使いやすそうな名言シールページ。

中華偽平成ギャル女児ステッカー、ほぼ全ページに人生の格言めいた言葉が書かれていてドキッとする。女の子同士が相田みつをの詩みたいな言葉でズッ友だよって言ってるだけの当時のステッカーは笑ってみてたはずなのに…。
パッケージはなんだか埃っぽいし、カットラインはめちゃくちゃだし、ステッカーの質はあからさまに悪い。あとなんか変な匂いもする。だいたい表紙が孫氏の言葉の時点で全然平成じゃない。そもそも平成ってなんだ…?
しかしなんなんだろう。今までの行いを強制的に振り替えさせられるような強い言葉の数々と、懐かしいの向こう側にあるようなイラストの暴力。ページを捲るたびに現れる存在しない記憶が蘇る。
「ねー〇〇ちゃん、シール交換しよ!」
「いいよー!どれがいい?」
「私はー【記憶は24時間で78%忘れる】が欲しいなー!」
「えー?それレアだからなぁ…。じゃあ【この人生は】と【ふかみにはまる】をもらっていい?」
「もちろん!」

うーん、中華偽平成ギャル女児ステッカー、あと何種類か欲しい。
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