初の自作PCに挑戦して無事に起動したはいいものの、CPUの動作クロックが全く上がらない不思議現象に遭遇してしまった。これをどうにか解決していきたい。
5.4GHz出るはずのCore i7 14700Fが2.35GHzしか出ない問題
前回の話をもう一度しておくと、第14世代のintel core i7 14700Fの動作クロックが上がらない。最大動作周波数は5.4GHzのはずだが、BIOSを最新バージョンにアップデートしただけの状態だと2.32GHzにしかならず、Cinebench 2024の点数は980ptだった。ネット上だと1800ptは出るらしいのでこれはおかしい。
BIOS上でCPU Cooler Settingを電力無制限になるMSI Perfomance Settingに変更してみたが、Cinebench 2024の点数は1100Ptに上がっただけ。動作周波数は2.65GHz止まりだし、CPU温度も50℃台と低いまま。
マザーボードはMSI MAG B760 TOMAHAWK WIFIで、マザーボードの性能不足というのは考え難い。Cinebench 2024実行中のCPU温度も50℃台なのでCPUクーラーの冷却不足という線も無い。一体何が悪いのか…。
CPUを交換してみる
僕には全くわからないので、まずはマザーボードメーカーのMSIにチャットで問い合わせを行った。迅速丁寧に答えてくれるのでサポートの心強さは感じたが、ここで得られた回答は次のようなものだった。
MSI Unlimited SettingにしてCPU温度も十分に低い状況で動作クロックが上がらないのは明らかにおかしいですが、その理由はチャットではわかりかねます。CPUかマザーボードの故障が疑われます。
マザーボードの交換はちょっと大変なので、まずはCPUの交換から試してみよう。CPUを購入したTSUKUMOの通販に問い合わせてみると、ありがたいことにスムーズに保証交換に応じてくれた。本当にCPUが悪いかどうかわからないのに対応してくれるのはとてもありがたい。
まずは古いCPUを取り外す。水冷ポンプヘッドを外すだけでCPUにたどり着けるので結構簡単。グリスの塗りすぎで変なことになってるとか、マザーボードのピンが折れてるとか色んな可能性が頭に浮かんだが、見てみる限りそんなことは全く無かった。
新しいCPUが到着。保証交換なので当然同じ14700F。佐川急便が交換品を持ってきてくれたのだが、商品の受け取りと同時に旧CPUを引き渡す必要があったので、あらかじめCPUを外しておく必要があったのだけは少しややこしかった。またCPU本体だけではなくパッケージや取説、付属のCPUファンなど一式すべてを保管してあったため保証交換をスムーズに行えたが、捨ててしまった場合は交換できない場合があるらしい。自作PCの場合パッケージなどはしばらく取っておいたほうが良さそう。
CPUを交換してBIOSのCPU Cooler Settingを電力無制限になるMSI Perfomance Settingに設定。それ以外はデフォルトのままCinebench 2024を実行してみる。
が、結果は交換前と何も変わらず。つまりCPUの故障ではなかったということ…。保証交換してくれたTSUKUMOにすごく申し訳ない気持ち。
14700Fの最大ターボパワーは219Wだが、Cinebench実行中の消費電力は約120Wとその半分。タスクマネージャーで見てみると、CPU使用率は100%だが28スレッド中16スレッドが8割ぐらいしか稼働していないこともわかる。
14700Fは8個のPコア(Performance-cores)と12個のEコア(Efficient-cores)があり、Pコアが1コア2スレッドで16スレッドを担当している。つまり何らかの理由でPコアが遊んでいるものと思われる。
BIOSの設定をいじってみたりするが…
というわけでもう一回BIOSに戻ってチェック。が、全く詳しくないのでよくわからない。
性能に関係ありそうな部分でなにか無効になっている項目がないか調べたが、そんなものはなかった。ターボモードも有効だし、基本おかしそうなところがない。
PL1(Long Duration Power Limit)とPL2(Short Duration Power Limit)が自動になってるのがおかしいのかと思い、どちらも219Wに手動で設定してみたが、全く何も変わらず。元が無制限なのに120Wしか消費してないのだから当然と言えば当然だが。
またBIOSのバージョンを一つ前のものにしてみたり、また最新に戻してみたりもしたが、こちらも全く変化なし。どうすりゃいいのよ。
MSI CenterのUser Scenarioを変更してみると…
全く埒が明かないのでもう一度MSIにチャットで問い合わせてみると、次のような答えが帰ってきた。
MSI CenterのUser Scenarioは変更してみましたか?これがサイレントになっているなどの、BIOSではなくWindows側の設定で動作クロックが変化する可能性があります。
MSI CenterはMSIマザボで使える管理機能だが、余計なソフトは入れたくないのであまり使わないでおこうとしていたもの。User ScenarioはMSI Center内にある拡張機能で、ワンタッチでパソコンの性能を変化させることのできる機能。ケースファンのコントロールなどもここでできる。
まさかとは思いつつもMSI CenterにUser Scenarioをインストールし、プリセットの「バランス」を選択。その状態でCinebench 2024を実行してみると…
動作クロックが4.78GHzまで上がり、Pコアも全力稼働。CPU温度も70度台に突入し、Cinebench 2024のスコアも一気にネット上の点数を超える1918ptまで上昇。
なんなんだこれ。User Scenarioで一体何が変わったの?
この状態でPremiereProで動画編集してみると、これまで以上にサクサク動くし、動作クロックも5.27GHzと限界に近い数値が出てくる。Cinebenchで5GHzを超えなかったのはよくわからないが、実用で超えてくるのでとりあえず使用上の問題はなさそう。
こんなに変わるんだったらUser Scenarioのバランスモードをデフォルト設定にしてくれないかな、ほんとに…。
Windows11 電源モードの設定も影響あるかも
User Scenarioが何をどこまで変更してくれたのかはさっぱりわからないが、一つだけ心当たりがあるのは、Windows11の設定→システム→電源にある「電源モード」。他のPCでこれを「最適な電力効率」にすると、途端にパフォーマンスが下がる現象に出くわしたことがある。すっかり忘れていたが…。
もしかするとデフォルトでは「最適な電力効率」になっており、User Scenarioによってこれが「バランス」になったのではないか?User Scenario変更前にどうなっていたかは確認していなかったので正確なところはわからないが、そういう部分も影響していそうな気がする。
でもこの電力モード、ノートパソコンならいざ知らず、デスクトップなら「最適なパフォーマンス」にしておくのがベストな気がする。
これ以上は追求しない
というわけでintel core i7 14700F搭載の自作PCで動作クロックが上がらない問題はこれにて終了とする。Cinebenchで動作クロックが上がりきらないのは気になるっちゃ気になるが、そんなのは実用上なんの問題でもないので無視。というかわからないことが多すぎてこれ以上触れない。なのでこれで良しとする。
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