EOS R6、R7、R6 MarkⅡなどに使用されているCanonの新型バッテリーLP-E6NH。LP-E6型の最新バッテリーということで容量アップなどを果たしているそうなのだが、これにはちょっとした疑惑があった。
「EOS Rシリーズに互換バッテリーを使うと連射速度が落ちる」
というのだ。本当かどうか検証してみよう。
Canon LP-E6NHとLP-E6Nの違い
LP-E6NHとLP-E6Nはスペック上は容量しか変わりがない。両方ともリチウムイオン電池で、サイズなどにも変わりがないので、LP-E6シリーズが使われるCanonの様々なカメラに使うことができる。
- LP-E6NH:DC7.2V-2130mAh
- LP-E6N:DC7.2V-1865mAh
互換バッテリーで連射速度が落ちるらしい
LP-E6NHだが2023年6月時点で1個約1万円と結構高価なバッテリーになっている。なので僕みたいな人は互換バッテリーを使うことを視野に入れたいし、実際今でもいくつかの互換バッテリーを所有しているので、できればこれらを有効活用したい。
互換バッテリーを使用すること自体があくまでも自己責任の範囲で行う行為であり、メーカーは互換バッテリーの使用を推奨していない。
というか1個1万円のバッテリーを何個も持つのはしんどすぎる。ミラーレスカメラだと特に予備バッテリーが必須だし…。
R6 MarkⅡでハイスピード連写モードになるかどうか
というわけでEOS R6 MarkⅡにLP-E6系バッテリーを装備して、ハイスピード連写モードがどうなるのか確認してみる。用意したのは
- Canon LP-E6NH
- Canon LP-E6N
- Powerextra LP-E6N互換バッテリー
の3つ。ただし純正LP-E6Nと互換バッテリーは経年劣化による若干の劣化がある。とはいえEOS 90Dで使っている限りなんの問題も感じないが。
Canon LP-E6NHは問題なし
Canon LP-E6NHを入れた状態がこれ。液晶画面左端に表示されるハイスピードモードのマークが緑色に点灯していることから、最高連射速度が出せることが分かる。実際シャッターを切ってみてもスペック通り(メカシャッターで秒間12枚)のスピードで連射できた。当たり前だが現行型純正バッテリーの安心感は凄い。
Canon LP-E6NでもOK
Canon LP-E6Nを入れた状態がこちら。少しだけバッテリーが減っていたのだが、問題なくハイスピードモードが使えることが分かる。実際にシャッターを切ってみてもきちんと秒間12枚の連射ができる。
おそらくだが純正LP-E6Nをたくさん持っている人は、わざわざLP-E6NHに買い替える必要は無さそう。若干容量が少ないため電池食いが激しいミラーレスカメラには不利ではあるが、純正LP-E6Nでも使用にあたり特に問題はない様子。
互換バッテリーを使うと連写速度があからさまに落ちる
互換バッテリーを入れるとハイスピードモードのマークが白色になり、しかも点滅をし始める。シャッター連射速度は明らかに遅く、メカシャッターだと秒間8枚ぐらいしか撮れない。1枚ずつ撮影するのには何ら問題がないのだが…。
Powerextra LP-E6N互換バッテリーは7.4V-2600mAhと純正バッテリーを凌駕するスペックのはずなのに、これはおかしい。
互換バッテリーを使うと起動時間が遅くなる
しかもこの検証をしている最中に気がついたのだが、互換バッテリーを入れると電源ONから起動するまでの時間が遅くなる。EOS R6 MarkⅡを使っていて偶に「起動が遅いな」と感じることがあったのだが、まさかこれのせいなのだろうか?
いろいろ試してみると、バッテリーを純正品から互換品に入れ替えた直後は大体いつも起動に6~8秒の時間がかかることがわかった。純正バッテリーなら1~3秒程度で起動するので、この時間はなんだかすごく不安になる。
バッテリーを取り出さずに電源を頻繁にON/OFFさせてみると1~2秒で起動するので、バッテリー入れ替え直後でなければ起動時間にそこまで影響はない。ただ電源をOFFにして一定時間が経過した後にONにすると、互換バッテリーの場合はやはり立ち上がりに数秒程度の時間がかかることがあった。これは結構困る。
疑惑:互換バッテリー使用時にわざと性能を落としているのでは?
- 互換バッテリー使用時の異常なほど遅い連射速度
- 互換バッテリーに入れ替えたときに起動が明らかに遅くなる
この2点から、カメラが純正バッテリーでないことを認識するとわざと性能を落としているのでは?と思った。Canonが意図的に純正品以外を排除しようとそういう仕様にしていても不思議ではない。
実のところ、今回使用した互換バッテリーはR6 MarkⅡでも90Dでも「LP-E6」というLP-E6Nより更に古いモデルのバッテリーであると認識される。古いバッテリーであるとカメラが思っているので、容量や電圧が純正品を上回っていたとしてもフルパワーが発揮できない様になっているのだろう。
結論:100%の性能を使うためには純正品を使うしか無い
というわけで結論としては、
カメラの100%の性能を使うためには純正バッテリーを使うしか無い
ということがわかった。実際問題として連射速度が秒間12枚から秒間8枚に下がったところでさほど大きな影響がある場合は少ないと思うのだが、それよりも起動時間があからさまに遅くなる方が困る。特にミラーレスカメラは電池を食うのでこまめに電源をOFFにしたいのに、それが故にシャッターシャンスを逃すのはいくらなんでも残念すぎる。
…まぁでも純正品を使っていても偶に起動が遅かったりするのだが…。
ただ問題なのは起動時間と連射速度だけなので、撮影にある程度じっくり時間が取れる環境で、1枚ずつしかシャッターを切らないのであれば、互換バッテリーで十分使えることは間違いない。実際僕はすでに結構使っていて、そういう場面での不便さは感じていない。
R6 MarkⅡでも90Dでも純正バッテリーはきちんとLP-E6NまたはLP-E6NHであると認識されるので、今後リバースエンジニアリングが進んでLP-E6NHであると認識される互換バッテリーが現れれば、また話が変わってくるのかもしれない。その日がいつになるのかは分からないが…。
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