フルサイズカメラなんて縁遠い存在だと思っていた時期が僕にもあった。
愛用しているEOS 90Dに最近不満が出てきたこと。今後僕の中で写真の重要度が高まるであろうこと。各メーカーがミラーレスカメラに移行して、レフ機がオワコンになりつつあること。そして何より、近年の激しい値上がりを見るにカメラを買うなら早めにしないと損すること。
そんなことを悶々と考えていたら、「とりあえずポチってダメだったら売ってしまえばいいじゃない」と悪魔が耳元で囁いた。確かにその通りかもしれない。
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Canon EOS R6 MarkⅡを購入
そもそもミラーレスカメラってどうなんだろうなっていう漠然とした不安を抱えつつも、どうせ買うならいいものが良いななんて考えて、ギリギリで手の届く範囲のカメラを選んだ。
そして届いたのがCanon EOS R6 MarkⅡ(以下R6 Mk2)。しかもRF 24-105mm F4 L IS USMレンズキットで。2022年12月15日の発売日から数日経ってから注文したのだが、その時点で2.5ヶ月待ちとされていた。まさか本当に2ヶ月待つとは思ってなかったが…。
ただ写真を撮るだけの機械なのに去年買ったバイクより高いとはこれいかに。でもバイクもただ走るだけの機械だしなと思うことで納得してしまった自分もいる。金銭感覚を破壊することで人は幸福を得ることができる。
なぜCanon ROS R6 MarkⅡを選んだのか?
数あるCanonのミラーレスカメラRシリーズからR6 Mk2を選んだのには理由がある。
一つはポチった2022年12月時点でCanonの最新のカメラであったこと。アナログ的なものならまだしも、このような電子機器は日進月歩なので新しいもののほうが良いのが世の常。特にR6から約2年と短いスパンでモデルチェンジを遂げたR6 Mk2にはそれなりの理由があるように思った。
R3は値段が高すぎるし、R5も同様。また僕は写真をほぼWEBでしか使わないので高画素機でなければならない理由が無く、むしろ暗所に強いカメラが欲しかった。現在のメイン機であるEOS 90Dで不満なのが明暗差の激しい場面での映り方だったので、R6またはR6 Mk2だとその改善が期待できそうだと思った。
価格的にも実際の使用環境的にもR7が非常に興味深い機種で、最後まで迷った。ただR7は非常に強力なAF性能を持ちながらも、シャッターショックが強すぎて微ブレするという情報が気になった。ミラーレスカメラならではのローリングシャッター歪みもそれなりにあるらしく、シャッターショックをなくすための電子シャッターも使えないんじゃ流石に困る。まぁそこまでシビアに見るかどうかという問題でもあるが…。
そして何よりもAPS-Cではなく「フルサイズセンサー」というところに強く惹かれた自分がいた。R7を買えば90Dと同じAPS-C。フルサイズでAPS-Cを再現することはできても、その逆はできない。フルサイズのNEW STANDARDをBRAND NEWしたR6 Mk2に惹かれてしまうのも当然というわけだ。
無印R6を選ばなかった理由
前モデルのR6とは公式通販で約5万円、安売りされているところと比べると約10万円と大きな価格差があるR6 Mk2。正直その価格差を埋められるだけの性能差があるとは考え難いが、
- AF性能の進化
- 電池持ちの改善
- 動画性能の向上
- 約410万画素UPの有効2420万画素
- その他諸々がきっと改善されているに違いない
というざっくりした期待を込めてR6 Mk2を選んだ。特にR6はファームウェアのバージョンによってトラブルがあったりなかったりするらしいので、その辺りがモデルチェンジで改善されているだろうと期待した。
また僕の場合はとにかく写真を楽に撮って歩留まりを上げたいという思いが強い。じっくり構図を決めることよりも、とにかく素早い動体の一瞬を駆け足で撮っていくことがほとんどなので、AF性能の向上をアピールするR6 Mk2を選ぶだけの理由があった。
…でもR6をサブ機で買うのも有りだなと思ってる。少なくともR6ユーザーが追い金を出してまでMk2に買い替える理由は言うほど無さそうな気がする。R6持ってないから分からないが。
RF 24-105mm F4 L IS USMレンズキット
RF 24-105mm F4 L IS USMレンズキットにしたのは、
- RFレンズ持ってない
- EFのフルサイズ用レンズがSIGMA100-400しか持ってない
- レンズキットだとバラで買うよりお得
- 標準域のズームレンズが一番使うから、ここにコストを掛けたほうがいい気がする
- Lレンズへの憧れ
- 中古のRF 24-105mm F4 L IS USMが新品と値段変わらなさすぎる
などが理由として挙げられる。というかカメラの値段が上がりすぎて中古レンズ価格が発売時の価格を超えているので、こういうお高めのレンズはもう早めに買うしか無いという状況になっている気がする。
…と色々書いてはいるが、要するに「LレンズとR6 Mk2が欲しかった」のだ。赤い帯が付いてるのかっこよすぎる。
コンパクトなフルサイズカメラ
ここからは実際に手に持って感じたことを書いていく。
R6 Mk2はフルサイズのハイアマチュアモデルながら、ミラーレスカメラらしくかなりコンパクトにできている。公称値約138.4(幅)×98.4(高さ)×88.4(奥行)mmというサイズに、約670g(バッテリー、カード1を含む)/約588g(本体のみ)という軽量さ。実際に手にとって一番最初に驚いたのはその小ささと軽さだった。
「ポリカボディは高級感がない」という意見に対しては、確かにそうだなと思う。特にR6 Mk2は細かいシボ加工されたようなざらついた表面を持っているので、さして高級感は無い。でも冬場に冷たくなかったり軽かったり堅牢だったりするほうが僕にとってはよっぽど良いので割りと満足している。
実際APS-Cレフ機の90Dと比べて見てもほとんど差がない、というか実際には90Dのほうが大きくて重たいのには驚かされる。それでいてグリップ部分にはしっかりとした厚みと深さがあり、ホールド感は抜群。ただ小さいだけの持ちにくいカメラでは無い。
これゆえRF 24-105mm F4 Lという決して小さくないレンズを付けたとしても、90D標準レンズであるEF-S 18-135mmを装着したときと可搬性に変わりがない。なにこれすごい。
ストラップも細身
フルサイズカメラのストラップはとにかく太いイメージがあるが、R6 Mk2のストラップは幅約30mmと細身。90Dのストラップは40mmだったので10mm細い。このあたりはやはり軽量化によりストラップを太くする必要がなくなったということかもしれない。
電子ビューファインダー(EVF)の見やすさ
ミラーレス一眼カメラで個人的に一番気になるのがファインダーの見やすさ。ミラー越しに見ていた一眼レフとは違い、電子ビューファインダー(EVF)はいわばめちゃくちゃ近いところでテレビを見ているような物なので、このファインダーの見やすさは重要。
R6 Mk2は0.5型、約369万ドットのOLEDカラー電子ビューファインダーを搭載している。これはR6と同様で、上位機種であるR3やR5(0.5型、約576万ドット)のそれと比べると若干解像度が劣る。
ただこれ、店頭で見比べてみた限りではそこまで差を感じることはなかった。むしろR3だろうがR6だろうが「所詮はEVF」と言った感じで、実像をミラー越しに見ているのとはちょっと違うなと感じた。「まるでレフ機のファインダーを覗いているよう」な感覚が欲しいのであればレフ機を選ぶしか無さそう。
EOS RP(0.39型、約236万ドット)も店頭で試してみたが、あそこまで行くと昔のデジカメを見ているようなガビガビのファインダーに感じて良くなかった。
しかしミラー越しで見るのと違い、実際よりも明るく見えたり、撮る映像に極めて近いものが見えるのは素晴らしい。またEVF上に現れる各種設定数値がはっきりと見やすく、AFの選択範囲も極めて鮮明に現れる。ファインダー越しの視界もなんだか広くて快適。「これから撮るものがここではっきり理解できる」のがR6 Mk6のEVFの良さだと思う。
ただし、省電力優先設定にするとファインダーが60fpsになるのだが、これだと大きく動かしたときには明らかに一瞬遅れてカクついて見えるので、動体撮影には全く向かない。なめらかさ優先設定の120fpsだとあまり違和感は無いので、僕としてはこれ一択。
またEVFの性能には関係ないが、アイカップがネジ止めなのが嬉しい。まぶたに当たるゴムが若干硬いのが気になるが、アイカップが絶対に落ちない安心感がある。気づいたら無くなってるEbアイカップ、お前のことだぞ。
ほぼ右手だけで完結する操作系
電源ボタンが左肩にあったR6に対して、R6 Mk2は右肩に移動。もともと左側にあったボタンの位置に動画と静止画の切り替えスイッチが付いた。このおかげでほぼ右手だけで完結する操作系が手に入った。
R6ユーザーはこれを改悪として誤操作を招くと批判しているらしい。90Dも左肩に電源ボタンがあるので僕も間違えるのだろうかと思っていたのだが、実際使ってみても全く気にならない自分に驚いた。むしろ右手だけでほとんど操作出来るのが快適すぎる。各スイッチも適度に固くクリック感がしっかりとあるのでわかりやすい。
でも電源と似たようなスイッチで動画と静止画が切り替わるのはふとした拍子に困るかもしれない。
電子ダイヤルが3つあるので、SS・F値・ISO感度をそれぞれに割り当てればフルマニュアルで素早く操作できるのが素晴らしい。僕は常々カメラのダイヤルは3つか4つ(SS・F値・ISO・露出)あるべきだと思っている。露出はセミオート状態でしか使えないことを考えると3つあれば事足りるが、その3つすべてが右手の人差し指と親指だけで操作できるR6 Mk2の操作系は非常に優れていると感じる。
AFボタンの真横に配置されたマルチコントローラーも指が届きやすく、AFポイントの位置をファインダーを覗きながら素早く調整できるのがありがたすぎる。でもこの形状を変更したことの良さはいまいちよくわからない。ついでにマルチコントローラーを押し込むとAFが作動するように設定したら完璧かもしれない。でもそんな事してたらマルチコントローラーがそのうち折れそうで怖い。
強いて言うならSETボタンの回りのサブ電子ダイヤル1に上下左右のボタンが無いのが寂しい。設定画面での上下左右への細かい操作はマルチコントローラーかタッチパネルで直接やれということなのだろうが、マルチコントローラーだとThinkPadの赤いポッチの下位互換のようで微妙に使いづらい。でも多分すぐ慣れるだろう。
幅広い拡張性
R6 Mk6のバッテリーはLP-E6NH。従来のLP-E6Nから容量アップしたモデルで、どうもパワーも上がっているらしい。というのも互換バッテリーを使うと連射性能が落ちるらしく、互換品を使い場合にはそこに留意する必要があるんだとか。まぁ互換品を使う時点で自己責任なのでメーカーからすれば知ったこっちゃないという話でもある。でも純正バッテリーは値段が高すぎる。
少し斜めに開くバッテリーカバーを開けるとバッテリーの出入口と、HDMIみたいな端子が現れる。ここにBG-R10バッテリーグリップを付けると、縦グリップや2つのバッテリーによる容量アップが図れる。持ち運び性を考えると僕は使わないかなと思うが、必要な人には便利な機能。
またサイドにはマイク入力やイヤホンジャック、リモートコントローラー端子、USB TypeC端子にHDMIポートを装備。HDMIはフルサイズにしてくれないかなと思うが、使ったことがない人が言っていいセリフではない。TypeC端子からは充電したり通信したり色々出来るらしい。
カードスロットはフルサイズのSDカードが2枚収まる。1枚目にJPEG、2枚目にRAWファイルなど振り分けの設定も可能。この振り分け設定がどこでできるのかわからなくてしばらく困ったのはここだけの話。
R6 Mk2はアクセサリーシューの奥に通信端子を備えたマルチアクセサリーシューを搭載している。これによりアクセサリーへのデータ通信や電源供給が可能になり、ストロボ以外にもマイクやスマホとのリンクアダプターが搭載できる。防水性を高めるためのカバーも付属している。
…が、純正アクセサリーは高いので僕がこれを活用することはあまりないかもしれない…。
設定項目が多すぎる…
このブログを書いている時点ではまだ届いたばかりで、軽く触りながら設定などを見ている状況。それでもR6 Mk2の凄さはひしひしと感じるのだが…
このカメラ、とにかく設定項目が多すぎる…。
先に上げたEVFの設定然りSDカードの振り分け然り、いまいち何をどうすれば目的の動作が出来るのか分かりづらい。UIは80Dや90Dと同じでわかりやすいのに、項目が多すぎて何が何だかわからない。そしてその設定で何が変わるのかもわからない。
しばらくはマニュアルと格闘する日々が続きそうだが、ある程度落ち着いてきたら変更した設定をブログにまとめようと思う。
カタカタ音がする
このカメラ、手に持った状態で軽く降ったりするとカタカタと音がする。
これどう考えてもボディ内にある手ブレ補正機能が動いていることから鳴る音で、電源スイッチを入れれば駆動し始めるので音は鳴らなくなる。きっとこの音が鳴るのは何の問題もないのだろうけども、ラフに運んでいたらそのうち壊れたりしないのか心配で怖い。
初めてのフルサイズミラーレス機
というわけでCanon EOS R6 MarkⅡを初めてのフルサイズ、初めてのミラーレスカメラとして購入した。決して安くない、というよりもめちゃくちゃ高い買い物なので、扱いに緊張してしまう…。ただシャッターを切るたびにR6 Mk2の凄さは実感できるので、あとは撮影の腕を磨くだけ…。
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