最近スマートウォッチを身に着けている人を多く見かけるようになってきた。特にアップルウォッチをよく見るのだが、所有している友人に話を聞くと
「わりと便利だけど電池持ちが微妙」
という話が出てくる。では電池持ちが良いなら、スマートウォッチは便利な一品になるのだろうか?
Amazfit GTR
そこで買ってみたのがAmazfit GTR。
Amazfitは、中華スマホやPCで有名なXiaomiの協力会社であるHuami社のスマートウォッチブランドだ。その中でもこのGTRは2019年7月に発売された新しいモデル。Amazfitの意欲作ともいえる。
Amazfit GTRのスペック
モデル | 47mmモデル | 42mmモデル |
---|---|---|
サイズ | 47.2×47.2×10.75mm | 42.6×42.6×9.2mm |
重量 | アルミ:36g ステンレス:48g チタン:40g | アルミ:25g |
画面 | 1.39インチ AMOLED 454×454px 326ppi | 1.2インチ AMOLED 390×390px 326ppi |
タッチスクリーン | コーニング製ゴリラ強化ガラス+指紋防汚性コーティング | |
バッテリー | 410mA 通常使用:24日 | 195mA 通常使用:12日 |
OS | Amazfit独自OS | |
防水性能 | 5ATM | |
センサー | BioTrackerTM PPG 光学心拍センサー 6軸Gセンサー 3軸ジャイロセンサー 気圧センサー | |
GPS | GPS+GLONASS | |
接続 | BT5.0 BLE | |
対応OS | Android5.0以上 iOS10.0以上 |
上の表を見てもらえればわかるが、Amazfit GTRの電池持ちは半端じゃない。47mmモデルなら通常使用で24日間も持つという。ほんとかいな。
スマートウォッチとしての基本機能は網羅
Amazfit GTRはスマートウォッチとしての基本的な機能は網羅されている。天気予報をチェックしたり、通知を受け取ったり、アラームを鳴らしたり、どこかに行ったスマートフォンを見つけ出したり、ストップウォッチ機能が付いてたり、座りすぎを1時間ごとに警告してくれたりする。たぶんこの辺りはどのスマートウォッチを買ってもそう大差ない部分だと思われる。
GPS搭載で12種類のワークアウトが記録できる
Amaszfit GTRは本体にGPSを搭載、心拍センサーやGセンサーなども備えているので、12種類ものワークアウト(運動)中の動きを記録することができる。12種類の内訳は、
- アウトドアランニング
- ランニングマシン
- ウォーキング
- アウトドアサイクリング
- インドアサイクリング
- 海や河川でのスイミング
- プールでのスイミング
- クロストレーナー
- 登山
- トレイルランニング
- スキー
- 筋トレ
と、「それとこれは何が違うのか?」と気になるものもありつつも、大抵のワークアウトであれば対応している。さらにAmazfitアプリからStravaとの連携も取れるので、ランニングやサイクリングの様子を即座にシェアすることも可能。
開封
黒い箱を開けると、対照的な白い化粧箱に収められたAmazfit GTRが現れる。なかなかに粋な演出だ。
内容物はとても簡素で、
- Amazfit GTR本体
- 充電ベース
- 取扱説明書
だけが入っている。取扱説明書は日本語もあるが、中華製品の例に漏れずとても簡単な内容しか書かれていない。
47mmモデルでも非常に軽量、質感は悪くない
今回購入したのは47mmのアルミモデル。グレーのマット塗装が施され、ベゼル部分はマシニングによって光沢のある状態になっている。リューズは右に2つあり、上が電源ボタン、下がファンクションボタンとなっている。
付属のブラウンの合皮ベルトと合わせ、比較的落ち着いた「腕時計らしい」デザインで好印象。さすがに高級時計のようには見えないが、様々なシチュエーションでも違和感のないフォーマルなデザイン。約$150の時計としては十分な質感だと思う。
裏面はプラスチック製で、心拍センサーや充電端子が備わる。心拍センサーの都合で裏面中央部はわずかに膨らんでいるが、装着していてもそれによる違和感は特になかった。
バンド裏面はシリコン製で凹凸が付けられている。運動時に汗をかいてもバンドが痛んだり、腕への違和感が軽減されるよう工夫されている。22mm幅なので汎用バンドに交換することもできる。
バンド込での実重量は51gだった。手持ちの腕時計と比べてみたが、明らかにAmazfit GTRの方が軽量で驚いた。装着していても腕時計の重みを意識することはほとんどなかった。
マグネット式の充電ポッドで簡単確実なチャージ
専用の充電ポッドはUSBから電源を取り、マグネットで本体と固定されるようになっている。上下左右が対象のデザインだが、N・S曲の組み合わせにより逆接できないようになっているので、誤って端子を逆につけてしまうことも防がれている。そこそこ強力な磁力によって固定されるので、不意に触って接続が切れることはまずないと思う。
充電中はこのように電池残量が緑の輪になって表示される。フルチャージは約2時間とのこと。
スマホにアプリをインストールしてセットアップ
Amazfit GTRはスマートフォンと連携させることによって真価を発揮するので、まずは公式アプリをインストールする。僕はAndroid端末しかもっていないので、Android版をインストールした。
Google PlayからAmazfitアプリをインストール。
アプリケーションを立ち上げ、サインインあるいは新規ユーザー登録を行う。僕はAmazfitアカウントを持っていなかったので新規登録を押し、後は指示に従ってユーザー情報を入力していった。
登録後に立ち上がるホーム画面がこれ。まだAmazfit GTRとペアリングが行われていないので、右上の「+」ボタンをタップ。
ペアリングするデバイスで「腕時計」を選択。
Amazfit GTRを選択。
するとスマートフォンではバーコードリーダーが立ち上がる。Amazfit GTRは初期状態であれば画面にQRコードが表示されているので、これを読み込むと、ペアリングが完了する。
ペアリング後は本体のアップデートなどが行われるのでしばらく待つと、完全に使えるようになった。
1か月以上使ってみた
既に購入から1か月以上。この間に仕事やプライベートでガンガン使ってみて、Amazfitのいいところと悪いところを書いていきたい。
〇電池の持ちが半端じゃない
最大の特徴である電池持ちだが、これがとにかくすごい。2週間ほど普通に使ってみたところ、60%近い電池残量があった。仕事で使う関係上、連続無充電記録に挑戦したりはしていないのだが、とにかく電池が減らない。たぶんGPSを使ったワークアウト機能を活用しなければ1か月は余裕で無充電で行けると思われる。
この圧倒的な電池持ちのおかげで、1週間程度の旅行や出張であれば充電ドッグを持ち運ぶ必要が無いのが嬉しい。毎晩スマートウォッチのためにUSB端子を一つ用意するのなんて、出先じゃめんどくさすぎる。充電する頻度が極端に少ないので、Amazfit GTRは普通の腕時計と変わらない感覚で使える。
〇とにかく軽い
そもそも僕は「腕に何かついている」感じが嫌いで腕時計をあまりしないのだが、Amazfit GTRは普通に歩いたりしている分には特に気にならないレベルで軽い。恐らくランニングなどをして腕を振る動作をしてもそこまで違和感は無いと思われる。付属ベルトの感触もよく、長時間装着していてもそこまで嫌な感じはしなかった。普段から腕時計をする人であれば全く気にならないと思われる。
〇サクサクでわかりやすい操作性
下からスワイプすると、メインメニューが表示。ワークアウトやアクティビティのログ、通知の一覧や現在地の天気などが確認できる。
横にスワイプすると現在の心拍数や、今日一日歩いた歩数が表示される。さらに上からスワイプすると、ショートカットメニューが表示。電池残量やバッテリーセーブモード、画面輝度の変更などが行える。
動作はとても軽量で、いつも使っているスマートフォンとさほど変わらない感覚で使える。どちらかといえばiPhoneライクなジェスチャーで動かすタイプのスマートウォッチで、右二つのリューズを触ることはほとんどない。
〇有機ELパネルは美しく視認性が高い
1.39インチの画面の中に326ppiの高解像度有機ELパネルが詰め込まれているので、とにかく画面が綺麗。屋外での視認性も問題ないレベルで見やすい。そのと明るさに合わせて自動で画面の明るさを変更してくれるのだが、これも(ワンテンポ遅れるが)適切な明るさになってくれるので快適だ。
ただしスマートウォッチならではの問題として、一般的な時計スタイルの文字盤を設定していると、画面上で表示しているだけなので文字盤や針に高低差が無く、パッと見た瞬間に何時何分かというのが分かりずらい。かといって丸いフェイスにデジタル表示というのもなんだか味気なくて悩んでいる。
〇液晶パネルに傷がつきにくい
ついつい保護フィルムを買い損ねてそのまま1か月使っているのだが、画面に傷が入るような様子が全くない。軽くぶつけてしまったことなど多々あるはずなのだが…。指紋防汚性コーティングも施されているので、画面が汚れて見づらいなと感じたこともほとんどない。
〇通知したい項目を選択できる
通知を受け取りたい項目はAmazfitアプリのプロフィール→マイデバイス(Amazfit GTR)→アプリ通知から選択できる。通知してほしいアプリだけを選べるので、余計な通知がバンバン来たりするのを抑制できる。ただこれ、初期状態だと何も選択されていない状態なので、初期設定としていちいち必要なものを選択するのは面倒かもしれない。
また通知はバイブレーションによって教えてくれるのだが、「ブッブッ」と短く二回振動するのでわかりやすい。電話の時は「ブー、ブー」と長めの振動と音が鳴る。
〇アプリの使い勝手がいい
正直なところ、一度設定を決めてしまえばAmazfitアプリを使用することはあんまりないのだが、このアプリの使い勝手はなかなか悪くない。日本語対応でわかりにくい翻訳は少なく、UIもシンプルかつ明瞭。ワークアウトの記録を確認したり、文字盤の変更を行うのもわかりやすい。ただし純正の文字盤はあまりピンとくるものが少ない。
SNS的な機能を持たせたいのか「友達」なんて項目があり、どうやらワークアウトをシェアできるらしい。Stravaでさえろくに友達登録をしていないので、個人的には必要のない機能も搭載されている。
〇ワークアウトの情報が詳細
ワークアウトの記録を取りたいと思った時は、Amazfit GTRを下からスワイプしてメインメニューを表示し、ワークアウトをタップ、実行するワークアウトを選択すればOK。例えばアウトドアサイクリングを選択すると、即座にGPSと心拍計がONになり、計測が開始される。ワークアウト中は心拍数や速度、移動距離や経過時間が画面に表示される。ただし画面は常時点灯ではないので、自転車に乗りながら確認するのはちょっと難しい。
上下どちらかのリューズを長押しするとポーズ状態になり、赤色の停止ボタンをタップすればワークアウトが終了する。終了後はワークアウトの記録が簡単に表示される。停止させるときの「リューズの長押し」動作だけわかりずらいが、一度理解してしまえば簡単。
ワークアウトの記録はAmazfitアプリで確認できる。速度や高度はもちろん、心拍数のデータなどもかなり事細かく見れるので、トレーニングの参考になる。
〇Stravaと連携し、自動でワークアウトをシェアしてくれる
Amazfitアプリのプロフィール→アカウントを追加→Stravaを選択すると、自分のStravaアカウントと連携をすることができる。これを設定しておけば、特に何もしなくてもAmazfitアプリを立ち上げGTRとの同期が取れるや否や自動でStravaにワークアウトがシェアされるので、いちいち自分でアップロードするのはめんどくさい、という人にはありがたい機能だ。
×日本語に対応していない(現時点では英語と中国語のみ?)
非常に残念なポイントとして、2019年11月現在、Amazfit GTRは日本語に対応していない。というかむしろ、本体の言語設定は英語しかない。Amazfit GTR本体で表示される英語はどれも比較的簡単なものばかりなので、使用にあたって特に困ることはない。
…のだが、通知が来るときに日本語のひらがなとカタカナが「?」に置き換わってしまう。かろうじて漢字は表示されるので、慣れてくると誰からの通知か分かったりするのだが、「通知を受け取れることを重視したい!」という人には向いていない。
他のAmazfit製品は以前から日本語に対応しているし、Amazfit GTRは技適認証を取得済みで、取扱説明書にも日本語があるので、今後のアップデートに期待したい。
【追記】
2019年12月17日、ついにAmazfit GTRが公式で日本語に対応!メニューも通知も全て日本語になったので、より扱いやすくなった。
×見たいときに文字盤が表示されないことがある
Amazfit GTRの文字盤は普段消灯しており、リューズを押すか、あるいは時計を顔に向けるようにクイッと腕をひねると点灯する仕組みになっている。
しかしこの後者のクイッとひねる動作に対しての判定が割と厳しく、時間が知りたいのに文字盤が点灯しないことが多々ある。この辺りは明らかに普通の腕時計の方が便利だ。それならいつでも時間が見れるのだから。
△常時点灯も可能だが文字盤がイマイチ
Amazfit GTRには、いつでも文字盤を表示する「Always On Display」機能が(どうやら2019年9月あたりから追加されて)搭載されているのだが、この機能を使った時に表示される文字盤はイマイチかっこよくない。
デジタルとアナログの2つから選べるのだが、どちらも省電力を意識したデザインとなっている。またこの状態から文字を点灯させると設定した文字盤が出てくるのだが、当然のことながらいきなりデザインが全く異なる文字盤に変わるので、なんだか時計としての違和感がすごい。またもちろん、常時点灯させると電池の持ちも悪くなる。
△着信は受け取れるが、通話はできない
電話がかかってくるとAmazfit GTR上に着信を受け取るか否かの画面が表示される。ここで着信を受け取ることができるのだが、一方で難点もある。それは、Amazfit GTRにはマイクが搭載されていないので、結局のところ通話はスマホでする必要がある、ということ。例えば運転中や、何かを作業していてスマホを手に取れないような状況の時、ハンズフリーで通話できれば便利だろうと思うが、それはできない。個人的にあまりそのような状況は多くないのでそこまで気にしてはいないが、出来るに越したことはない。
△GPSの精度が微妙
内蔵されるGPSの精度は悪い。これはBluetoothなど様々な機能を搭載し小型化しているため仕方がない部分ではあるが、ちょっと建物が密集しているような箇所だとGPSをロストする現象が多発する。開けた場所での精度に関しても、軌跡がふらついてしまう。おおよその目安にはなるだろうが、計測距離の誤差が非常に大きいので、個人的には割と気になるレベル。
△OSがWear OSではない
Amazfit GTRはAmazfit独自のOSを搭載している。Googleのウェアラブル端末用OS「Wear OS」であればアプリケーションを追加したりできるらしいが、そのような機能はなし。ただ1か月間使ってみて何か足したい機能があるな~と思うことはないので、特に問題ないかもしれない。
日本語対応さえすれば最強かもしれない
イマイチだな~と思う部分をいくつかピックアップしたものの、基本的にはとても満足いく仕上がりのAmazfit GTR。特にフォーマルな見た目、基本を押さえた機能、そしてなにより圧倒的な電池持ちにより普通の腕時計とそん色ない使い心地なのが素晴らしい。あとは日本語対応さえすれば最強かもしれない…。
【追記】
ついに日本語に対応し、国内で流通するスマートウォッチとそん色のない性能を手に入れた!これでようやく万人にお勧めできるスマートウォッチとなったのだった。
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