今やポータブルゲーム機の市場がほぼなくなりつつあるほど、スマートフォンでゲームをする人は多い。しかしスマホはゲームに最適化されていない場合も多く、やりたいゲームが快適にプレイできなくてイライラするケースが有ったりする。やはり出先でもがっつりゲームがしたい人は、それ用のスマートフォンを選ぶべきなのである。
だから世の中には、ゲーミングスマートフォンなるジャンルが存在する。今回はそのゲーミングスマートフォンを製造販売しているRedMagicより提供を受けてレビューを行う。
RedMagic 5:$629から買えるゲーミングスマホ
ちょっとSFアニメっぽい箱に入ってRedMagic 5はやってきた。貸出品なので何度か箱を開けた跡があるのはご愛嬌。梱包の見せ方はなかなかかっこいい。
- RedMagic 5
- ACアダプター充電器
- USB TypeCケーブル
- 取扱説明書
が付属。充電器は急速充電にも対応している。
かなりゲーミングっぽいデザインの背面。アメコミヒーローの衣装のような印象がある。中央のREDMAGICの文字は任意の色に光らせることもできる。
カメラは背面に3つ、表面に1つ搭載している。
RedMagic 5の特徴
サイズ | 長さ168×幅78×厚さ5mm 実重220g |
画面 | 6.65インチAMOLED 1,080×2,340px 最大リフレッシュレート144Hz タッチサンプリングレート240Hz |
通信 | 5G SA+NSAデュアルモード |
CPU | Qualcomm Snapdragon 865 |
冷却 | ターボファン3.0搭載 アクティブリキッドクーリング |
メモリ | LPDDR5 8GB / 12GB |
ストレージ | UFS3.0 128GB / 256GB |
カメラ | 6400万画素SONYトリプルカメラ メイン:6400万画素 ウルトラワイド:800万画素 マクロ:200万画素 |
バッテリー | 4500mAh 最大55W高速充電対応 |
備考 | ショルダートリガーボタン内蔵 |
強力なCPUと、読み込み速度が速いメモリ&ストレージを採用。144Hzのリフレッシュレート&240Hzのタッチサンプリングレートという、完璧にゲーミング性能を追求したディスプレイを搭載。そこで生まれる大量の熱は、物理的にクーリングファンを使って冷却してしまうという、ほとんど小さいゲーミングPCといえるスペックを持っている。スマートフォンとしてはかなり尖った仕様だと言えよう。
ただその分だけ、正直なところかなり大きくて重たい。大型のスマートフォンを普段から使っている人ならさほど気にならないかもしれないが、この手の物はできるだけ小さいほうがいいと思っていると、その大きさに少し驚くかもしれない。
6.65インチの美しいディスプレイ
6.65インチ画面はかなり彩度が高めな美しい発色。1,080×2,340pxのFHD+は今どき高解像度とは言えないが、144Hzに切り替えるとものすごく滑らかに映像が動くので、普段のスマートフォンとの違いに驚く。
ディスプレイは平面で、画面占有率は高いがカメラなどのパンチホールも無い、ゲームがしやすい仕様となっている。画面の下側に指紋認証を内蔵している。
かなり縦長な画面なので、現在一般的な16:9の映像を見ると左右にかなり余りが発生する。
ゲームをすると全画面に表示されるので、とても視野が広く取れて操作しやすい。色も鮮やかなので見やすくゲームが快適に出来る。
少し変則的なボタン配置
RedMagic 5のボタン配置を見てみる。
まず底面にはスピーカー・USB TypeC端子、SIM/microSDカードスロットが搭載。ここは特に問題なく普通である。SIMカードスロットは付属のピンを差し込むことで出てくるタイプ。
上面には3.5mmのステレオジャックが備わる。最近のスマートフォンには搭載されていないことも多いが、やはりイヤホンでゲームをするなら有線以外の選択肢はない。ゲーミングスマホとしては必須装備だろう。
右側面には上(写真左)から順に、
- ショルダートリガーボタン(左)
- 冷却ファン吸気口
- 音量ボタン
- 電源ボタン
- ショルダートリガーボタン(右)
が並ぶ。個人的に今まで使ってきたスマートフォンはどれも全て電源ボタンの方が音量ボタンよりも上にあったので、その関係が逆に配置されているRedMagic 5の操作は最初少し戸惑った。ただここは慣れれば問題ないと思う。
最後に右側面には、上(写真右)から順に
- ゲームブーストスイッチ
- 冷却ファン排気口
- Magic Adapter用コネクター
が並ぶ。この上部のゲーミングブースとスイッチが特徴的で、これをONにするとアプリの通知がOFFになり、ゲームに最適化される仕様へと切り替えることができる。
144Hzへの切り替え
初期設定状態だと画面のリフレッシュレートは60Hzになっている。世の中のほぼすべてのスマホゲームは大体60Hzまでしか対応していないので正直無意味な感じがしないことも無いが、せっかくなのでこれを切り替える。
設定から「ディスプレイ」を選択。そこから「Screen refresh rate」を選ぶ。
リフレッシュレートは60/90/144Hzから選べる。144Hzを選択して戻ると、今までのスマホって何だったんだろう…と思うぐらい画面の動きがヌルヌルになる。すごい。
カメラ性能について
RedMagic 5はあまりカメラ性能に拘ったスマートフォンではないので、カメラの画質は一般的なレベル。特に高画質であったり、妙に発色の良い色合いに加工されていたりすることはない。現代の水準からしても特に不満がない程度には使えるはず。ナイトモードも搭載されていて、暗い場所でもそれなりに綺麗な写真が撮れた。
ゲーミング性能について
RedMagic 5は非常に高い性能を持っているので、普通にブラウジングやYouTubeで動画を見るぐらいだと何の不満も無く使える…としか言いようがないぐらい快適。それじゃつまらないので、せっかくなのでゲームをやってみることにしよう。
ゲームブーストスイッチをONにするとゲームモードへと切り替わる。こうなると電話やSNSの通知はOFFになり、クーリングファンが常時回り始める。
ゲームモード中は画面右(底面側)をスクロールすると、ゲーミングモードの各種設定が出てくる。ここでリフレッシュレートの他、4Dショック(ゲームにより対応)、通知の有無、スクリーンショット、画面の明るさなどを変更できる。
今回はレースゲームのアスファルト9をプレイしてみる。
とにかく画面が大きく色合いが美しいので没入感がある。アスファルト9のフレームレートは60Hzなので、RedMagic 5の144Hz画面を完全に活かすことはできないのだが、カクツキが全く無くなるので非常に見やすい。
画面のタッチもそうだし、RedMagic 5本体を動かして操作する際もタイムラグを感じることは一切なし。タッチ感度が悪くて反応しない、なんてことも数時間のプレイ時間では全く発生することが無かった。
特に期待はしていなかったのだが、かなり驚いた良い点は音質。本体から直接出る音でもスピーカーが意外とよく、低音から高音までくまなく迫力ある音が出るのだ。試しに最大音量にしてみたりもしたが、音割れはほぼ無し。ゲームの迫力が一段階アップするのでとても嬉しい。
長時間プレイしていくと(リフレッシュレートを144Hzにしているので)だんだん背面のREDMAGICのロゴがあるあたりが熱を持ってくるのだが、それによる熱ダレなどは一切なかった。これは冷却ファンがかなり効いているようだ。
冷却ファンは、よほど静かな部屋で無音でいれば「ファーン」という少し高い音が聞こえるが、本体から音を出していれば全く気にならない程度に静音。排熱口から熱を帯びた空気が出てくるが、ゲーム中にそれが気になることも無かった。
難点:日本語化されていない箇所がある
正直言って基本性能やゲーミング性能については全く不満がないのだが、一つだけ問題が有るとすれば、日本語化されていない箇所がチラホラと見受けられること。設定画面をそう頻繁に見る人はいないと思うが、レビュー時点(2020年10月)の最新ファームウェアでも、設定の半数以上は英語表示のままになっているのが実情だ。
この手のスマートフォンを買うのは物好きしかいないので問題ないとは思うが、英語が全くの苦手で見ると拒否反応を示してしまうような人は、とりあえずこの問題が解決されるまでは買うべきでないと思う。
また一部日本語フォントも少し微妙で、生産国である中国っぽさを感じるところが無きにしも非ず。このあたりの使い勝手や美しさが欲しい人は素直に大手キャリアで取り扱っているスマホを選ぶべきだろう。
細かな難点:Qi充電非対応
また個人的にはQi充電にも対応していてほしかった。Qi充電では急速充電できないのでゲーミングスマホとしては不要と考えたのだろうが、普段使いには非常に便利なので搭載してほしかった。
あと一晩放置しておくだけでそこそこ電池残量が減っているのも気になった。4500mAのバッテリー容量は少なくないはずなのだが、自己放電が大きいのか、あるいはデフォルト設定のままだと色々動いているのか、あるいは今回の貸出機がそれなりに使い倒されているのか、細かいことは不明。急速充電に対応しているので、普段から使う分には特に気にならないとは思うが。
ゲーミング性能を追求した高コスパスマートフォン
というわけで、RedMagic 5のレビューを締めると、
ゲーム好きならまず選択肢に入れるべきスマートフォン
だと思った。十二分にハイスペックなのでゲームを含めあらゆるアプリはサクサク動くし、画面は超ぬるぬる動くし、長時間駆動時の発熱もファンが動くのでなんてことはない。普段は60Hzの画面に設定して、ゲーム時はゲームモードで144Hzへ変更、なんて動作もサクッと出来る。ゲーム中の通知もカットできるし、何より音がなかなかいい。これだけゲームを楽しむのに特化したスマートフォンはなかなかないだろう。しかも5G通信に対応しているので、これからの時代も長く付き合うことができるはず。それでいて公式通販では$629~という、このスペックにしては他の追従を許さない低価格を実現しているのだ。
スマートフォンでゲームを楽しみたいなら、これ以上は無いかもしれない。
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