Canon EOS R6とR6 MarkⅡどっちを選ぶべき?両方買って数ヶ月趣味に仕事に使ってみた結果

カメラ

EOSフルサイズミラーレスのスタンダード機として2020年8月に販売されたCanon EOS R6。そしてその後継機種として、トラッキング性能を向上させた新世代スタンダード機Canon EOS R6 MarkⅡ。

僕はCanon EOS R6 MarkⅡ(以下R6 Mk2)を初めてのフルサイズ機として購入し、その後サブ機としてCanon EOS R6(以下R6)を買い足した。趣味に仕事にとバリバリ使って、購入から数ヶ月でどちらも数千枚以上の写真を撮影してきた。

僕自身はプロカメラマンではないが、この2機種を実際に併用して使ってみてどうだったか、そしてこの2機種の購入を迷っているならどちらを買うべきなのか?これについて書いていきたい。

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スペック比較

R6R6 MarkⅡ
発売日2020年8月27日2022年12月15日
タイプミラーレスミラーレス
マウントRFマウントRFマウント
センサーサイズ35mmフルサイズ35mmフルサイズ
画素数約2010万画素
5472×3648px
約2420万画素
6000×4000px
感度標準:ISO100~102400
拡張:ISO50~204800
標準:ISO100~102400
拡張:ISO50~204800
連射速度電子シャッター:最高約20コマ/秒
メカシャッター:最高約12コマ/秒
電子シャッター:最高約40コマ/秒
メカシャッター:最高約12コマ/秒
シャッタースピード電子:1/8000~0.5秒
メカ:1/8000~30秒
電子:1/16000~30秒
メカ:1/8000~30秒
シャッター耐久回数約30万回約40万回
ボディー内手ブレ補正5軸対応
RFレンズとの協調制御で最大8段
5軸対応
RFレンズとの協調制御で最大8段
AF測位点6072点4897点
AF被写体検出人物/動物人物/動物/乗り物
光束対応AFF22F22
液晶モニター3インチ167万ドット3インチ167万ドット
ファインダー0.5型約369万ドット
OLEDカラー
0.5型約369万ドット
OLEDカラー
OVFビューアシスト無し有り
ファインダー倍率0.76倍0.76倍
ファインダー視野率100%100%
撮影可能枚数
ファインダーなめらか設定時
ファインダー使用時:250枚ファインダー使用時:320枚
動画記録サイズフルHD23.98fps~4K 59.94fpsフルHD23.98fps~4K 59.94fps
最大連続動画撮影時間29分59秒6時間00分00秒
記録メディアSDカード
SDHCカード
SDXCカード
SDカード
SDHCカード
SDXCカード
マルチアクセサリーシュー無し有り
Wi-Fi
Bluetooth
本体サイズ
幅×高さ×奥行き
138.4×97.5×88.4mm138.4×98.4×88.4mm
重量598g588g
価格(ボディのみ)
2023年8月時点
約26万円前後約35万円前後

結論:買えるならR6 Mk2。でも予算的にR6を選んでもOK

最初に結論から言おう。

買えるならR6 Mk2を買うべき。でも予算的にR6を買っても後悔はない

当然だがR6 Mk2が後継機種なので基本的にR6に負けているポイントはほとんどゼロ。R6にできてR6 Mk2にできないことなど無いと言っても過言ではない。なので予算的に手が届くならR6 Mk2を買うべきだと素直に思う。

ただしR6も素晴らしすぎるカメラであることに異論はないし、実際に使っていてこれで十分じゃないかと思うことも多々ある。まずはこの2機種を併用して使ってわかったことについて書いていこう。

操作系統は互角

R6とR6 Mk2は直接的な親子関係にあるため当然だが、両者の操作系は違うところを探す方が難しいぐらい同じ。3つの電子ダイヤルでISO・F値・SSを直接操作できるのも同じだし、モードダイヤルでの素早いモード切替、マルチコントローラーでAF測位点をダイレクトに操作できる点も同じ。

マルチコントローラーの形状がR6 Mk2になってより操作しやすくなったのは事実だが、そんなにいちいち気にするほどの差でもない。物理的な操作感は両者とも非常に優れている。サイズ感も全く一緒で、グリップの握った感じも何が違うのかわからないぐらい同じ。

左:R6 Mk2 / 右:R6
左:R6 Mk2 / 右:R6
左:R6 Mk2 / 右:R6
左:R6 Mk2 / 右:R6

大きな違いとしては電源ボタンの位置が変更になったことが上げられる。R6 Mk2は電源ボタンが右肩に移ったことで、右手だけでほとんどすべての操作を完結できるようになったのは確かに評価したいポイント。

でもそれが圧倒的な使い勝手の良さに繋がっているか?と聞かれれば、そこまでじゃないのも事実。ほとんど好みの問題と言ってもいいだろう。

両者とも小型軽量化による高い可搬性がある

また重量やサイズ感もほとんど変わらない。R6のほうが10gだけ重いが誤差みたいなものだし、一眼レフ機やCanonのハイアマチュアモデルの中で考えてもフルサイズで600g切りという重量はめちゃくちゃに軽い。

ポリカーボネート外装と防塵防滴構造なのも両者共通で、悪く言えば高級感に欠ける。しかしこの外装による雨風などに対する環境性能の強さや、夏場冬場でも素手で持てる撮影者への優しさを実現しているのもまた事実。

趣味性よりも実用性を取ると考えたとき、R6とR6 Mk2はどちらも素晴らしいカメラになる。

R6 Mk2の電子シャッターの最大40コマ/秒は魅力ではあるが…

R6 Mk2のトピックスの一つとして最大40コマ/秒の超高速連写能力が上げられる。テレビや映画でさえ秒間24フレームで動画として見えているのに、それを上回る細かさで写真が撮れるのは実際かなりすごい。ほんの一瞬を切り取りたい需要には確かに答えてくれそうな気がする。

R6 Mk2で電子シャッターを使いカメラを横に降って撮影した写真

ただ実際やってみると、電子シャッターで問題になるローリングシャッター歪みはそれなりに大きく現れる。R6 Mk2はR6に比べてこの歪みをわずかに抑えたと謳っているが、残念ながらメカシャッターのように撮影できるわけではない。当然ながらR6でも同じようにローリングシャッター歪みが大きく現れる。

これが気になって僕は電子シャッターを使っていないので、秒間20コマから40コマへの進化を期待してR6 Mk2を買うとがっかりするかもしれない。

撮れる絵はほとんど互角

R6 RF24-105L 1/1000s F/4 ISO100
R6 Mk2 RF24-105L 1/800s F/4.5 ISO100

撮れる写真に関しては、僕の目では違いがわからないぐらい両方とも素晴らしい。とにかくダイナミックレンジが広く、暗いところも明るいところもかなりギリギリまで粘ってくれる。色調は豊かで、目で見た景色そのままのような鮮やかさ。どちらで撮っても自分の技量が勝手に上がったような錯覚に陥る。

細かいディテールまでビシッと映し出す映像エンジンDIGIC Xのパワーをひしひしと感じて、どちらも本当に満足度が高い。フルサイズ機を買ってよかったなぁと心から思える。

協調制御で最大8段分の手ぶれ補正機能

R6 RF24-105L 1/8s F/4.5 ISO800
R6 Mk2 RF24-105L 1/4s F/22 ISO200

R6もR6 Mk2も共にボディ内手ぶれ補正機能を搭載している。5軸の手ぶれ補正機能は、RFレンズとの組み合わせで最大8段分の手ぶれ補正を実現。実際に1/8sや1/4sといった普通であれば三脚がほしいぐらいのシャッタースピードであっても、適当に手持ちで撮影できてしまう。

これが本当にとんでもなくて、高画素機ではないが故の高感度耐性も組み合わさって、暗い場所で適当な撮影をしても手ブレ無しなパキッとした写真がいとも簡単に撮れてしまう。これに慣れるとボディ無い手ぶれ補正がないカメラなんて考えられなくなる。

R6 Mk2が勝っているポイント

R6 Mk2:約2420万画素というスタンダードな画素数

R6の約2010万画素に対してR6 Mk2の約2420万画素という数字は魅力的。5472×3648pxと6000×4000pxなので実際のところ大した差ではないのだが、6000×4000pxはカメラ業界でのスタンダードになりつつあるし、トリミングを前提として考えていくとこの画素数の差は確かに現れてくる。

R6 Mk2:R6を凌駕するAF動体撮影能力

AF性能に関してはR6は十分に高く、かなり高いスピードと精度で被写体を検出する。静止物やポートレートぐらいではなんの問題もないし、モータースポーツの撮影であってもかなりイケてるレベルだと思う。

ただ、R6 Mk2のAF性能はそれを凌駕する。

R6 Mk2 SIGMA EF100-400 1/250s F/10 ISO100

R6以上に掴みが速いし、掴み続けるし、追尾も安定している。AF追尾機能であるSERVOに設定していると、任意のAF測位点を超えた範囲に被写体が動いたとしても追従し続けてくれる。たまにこれが悪さをすることもあるが、基本的には素晴らしい機能だ。

R6は設定したAF測位点内の被写体のみを検出する
R6 Mk2なら設定したAF測位点外にある被写体も自動で認識する

R6はSERVOにしていてもAF測位点以上には動いてくれないので、やたらめったら速い被写体に対してだと追従しきれないことがあるが、R6 Mk2なら被写体がファインダーの中にさえいれば(なんなら一時的にファインダーから消えても)追従してくれる場合が多い。動体撮影において歩留まりが高いのは圧倒的にR6 Mk2だった。

R6 Mk2:OVFビューアシストによる見やすいファインダー

R3以降のEOS R機には、OVFビューアシストという電子ファインダーでも従来のレフ機のような黒つぶれや白飛びの少ない自然な見え方を再現してくれる機能が搭載されている。

OVFビューアシストをOFFにすると、これからシャッターを切って撮影される写真とほぼ同じ画がファインダーで確認できる。これはミラーレスカメラの良いところである。ただカメラは人間の目よりも黒いところをより黒く、白いところをより白く表現してしまうもの。なので本当に見たいところが黒つぶれして見えてしまうことがあるのがEVF(電子ファインダー)の弱みでもあった。これをOVFビューアシストは補正してくれる。

実際使ってみるとR6 Mk2はOVFビューアシストによってかなり見やすいファインダーを実現している。R6と併用すると余計に実感するが、R6のファインダーを覗いた瞬間にコントラストが強すぎてきつく感じてしまうことが多々ある。

できればR6にもファームウェアアップーデートなどでOVFビューアシストを搭載してほしいが、多分してくれないと思う。

R6 Mk2:動画撮影での強み

R6 Mk2はR6の電源ボタン部分に静止画/動画の切り替えスイッチが搭載された。これにより動画と静止画をシームレスに移行することができるようになった。

…とよくレビューサイトに書かれているが、実際のところR6でもR6 Mk2でも、静止画モードのまま右肩にある赤い録画開始ボタンを押せば自動的に動画の録画が開始される。なので正直言ってそこまでこの動画/静止画切り替えボタンに意味はない。しかも動画撮影の性能自体もほとんど変わりがない。ただそれでも、

  • REC中に赤い枠がモニター上で点滅することでREC忘れを防ぐUI
  • 音声を外部入力すると音量バーが表示される
  • 最大連続6時間の動画撮影時間(R6は最大30分)

など細かい部分での改善が多く、動画も撮るならR6 Mk2のほうが安心感が高い。

R6 Mk2なら赤枠、REC、サブ電子ダイヤル1横のLEDでREC中を認識させてくれる

動画も静止画も一台で、なんなら動画撮影の比重がかなり高いのであれば、R6 Mk2に分がある。

R6 Mk2:マルチアクセサリーシューによる拡張性

R6 Mk2には次世代インターフェースであるマルチアクセサリーシューが搭載されている。ストロボのコントロールや音声のデジタル入力、高速データ通信や電源供給などの拡張機能に対応しているため、対応のCanon純正アクセサリーを使えばどんどんカメラの機能が拡張していく。

でも僕みたいなケチでCanon純正アクセサリーなんて殆ど使わない人からすれば無用の長物でもある。これのせいでカバーを付けてないと防塵防滴性能が下がるというのも微妙なポイント。純正至上主義な人にとっては嬉しいと思う。

R6が勝っているポイント

R6:起動が速い

誤差の範囲かもしれないが、R6のほうがR6 Mk2よりも起動が速い気がする。

R6 Mk2は電源をONにしてからファインダーを覗いてもまだブラックアウトしていて一瞬戸惑う場面に結構遭遇しているのだが、R6ではそれをほとんど経験した覚えがない。R6 Mk2は時と場合によって起動時間がマチマチなのだが、R6はその辺が安定しているように思う。

R6:待機電力が最小限

R6 Mk2を最初に買って思ったのは待機電力の多さ。電源をOFFにしていても、数日放っておくとバッテリーがほとんど空になっている経験をちょこちょこしていて、待機電力が凄まじく大きいように感じている。

ところがR6だと何日置いていてもバッテリーがしっかり残っていて、これまで使っていた一眼レフカメラと遜色ない使い勝手ができる。

R6 Mk2に電池を入れっぱなしにしておくとそのうち電池が痛むのではないかと心配になるが、R6だとその心配がないので管理がめちゃくちゃ楽。いざ撮影しようと思った時もバッテリーが入ってない悲劇も防げる。

ちなみに撮影時の電池持ちに関してはR6 Mk2の方が確かに若干良いと思う。ただどちらも実際には電池一本で1000枚以上は余裕で撮影できるのは変わりがないし、丸一日撮影しようと思ったら予備バッテリーが必須なのも同じ。実用上の電池持ちに関してはほぼ同じと言って良いと思う。

R6:価格が約10万円安い

R6はなんといっても価格的優位性がめちゃくちゃ高い。後継機種のR6 Mk2と約10万円の価格差はあまりにも大きい。常識的に考えればどちらも同じようなスペックの35mmフルサイズカメラなのだから、その10万円の価格差でレンズを買い足したほうが良いに決まっている。

10万円の価格差分の価値

というわけでR6とR6 Mk2を実用して比較した結果について話してきた。結論としては先に述べた通り、買えるならR6 Mk2を買うべきだと僕は思う。R6にできることはR6 Mk2にもできるが、R6 Mk2にできてR6にできないことは実際に存在するからだ。でも別にR6を買ったからと言って後悔することはなにもないとも思う。なぜならR6はとにかくコストパフォーマンスに優れた一台だから。

ただそこに10万円の価格差を埋められるだけの価値があるのか?と問われれば、たしかに微妙なところがある。というか価格差分の価値を感じられる人は僅かだろう。

画素数の上昇は誤差みたいなものだし、OVFビューアシストを僕はとても気に入っているが、無くても良い機能だとも言える。ただしAF性能の向上には舌を巻くので、動体撮影を重視するならR6 Mk2は絶対的に良い。動画撮影時の安心感もすごいので、静止画と両方撮る人にもおすすめできる。将来的に売却するときにちょっとでも新しい方が高く売れるというのも事実ある。

R6を買うべき人
  • 価格を重視する人
  • レンズを買い足したい人
  • まずはフルサイズカメラが欲しい人
R6 Mk2を買うべき人
  • 動体撮影を重視する人
  • 動画撮影の比重が高い人
  • 価格よりも最新さを重視する人

なのでR6を買うべき人とR6 Mk2を買うべき人は多分こんな感じ。R6 Mk2のサブとしてR6を買うのはかなり有りだし、実際満足度もかなり高い。でも金さえあればR6 Mk2を2台持ちしたいと思う自分もいる。

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