写真のピントってパリッと合ってると超気持ちいけど、微妙に合わせたいところと違うところにピントが来てるとなんかモヤモヤする。マニュアルフォーカス(MF)で素早く正確にピントを合わせられる腕がない僕はオートフォーカス(AF)に頼りまくっているわけだが、AFが果たして本当にきちんと目的のところにピントを合わせられているのかはちょっと疑問である。というわけで、ピントをバリバリに合わせるために、Canon EOS 80Dの機能を使ってレンズごとにピントの微調整を行おう。
テストチャートを自作する
現在のカメラ×レンズの組み合わせでAFが正常に機能しているか確かめるためには、テストチャートと呼ばれる白黒の模様と斜めの定規が付いた装置があるととっても便利。
そう、こういうの。ただちゃんとしたのは結構いいお値段がしてしまう。単純に白黒模様が付いているだけなのになぜ1万円もするのかは正直疑問ではあるが、きっといいものに違いない。
と思って探していたら、紙でできたもっと簡単な形のテストチャートも売られていた。確かにこんなもんで十分だよなぁ~…でもさ、
「この程度であれば自作でよくない?」
と思ってしまう僕がいる。だから自作しよう。
Studio9のテストチャートキットを使う
自作するのはいいが、いちいち模様を描いたりするのはめんどくさいなぁ~と思っていたら、カメラ好きならみんな知ってるStudio9でテストチャートキットが配布されていた。
丁度いいのでありがたく使わせていただくことにしました。
段ボールを切り出して紙を貼ってさくっと完成。Studio9では「マット系のプリンター用紙を使うのが吉」とあったが、試しにいつものプリンター用紙に印刷してみたところ、確かに若干のにじみはあるものの使用にさしあたりは無さそうだったのでそのまま使った。この辺はプリンターの性能やヘッドクリーニング直後かとかによると思う。完璧なピンと調整を求める人はにじみの少ない紙にプリントしよう。
Studio9では「裏面に適当な箱を使って立てる」との指示があったが、僕はもっと簡易的に、裏面に折った段ボールを貼って足とした。段ボールは折れ線の反対側にカッターで切れ込みを入れるときれいに折れる。定規を立てかければ安定するし、しまうときには平らになるので便利。
80DのAFマイクロアジャストメント設定方法
メーカーごとに名前は異なるようだが、Canonの場合のピント調整は「AFマイクロアジャストメント」という名前が付いている。主に中級機以上のボディに搭載されている機能らしく、80Dの場合はズームレンズなら広角側(ワイド側 “W”)と望遠側(テレ側 “T”)の両方が調整可能。
調整したいレンズが装着されている状態で、メニューボタンを押してこのページを表示させ、「C.FnⅡ:AF」を選択。
AFマイクロアジャスメントの「2:レンズごとに調整」を選択。
純正レンズの場合はレンズ名が、社外レンズの場合はレンズの焦点距離が表示される。液晶画面の右側にある「Q」ボタンを押してレンズを登録する。
すると広角側(W)と望遠側(T)のピント調整を行うことができる。数値は
- +側に設定=ピントが奥にずれる
- -側に設定=ピントが手前にずれる
となっている。この数値はテストチャートのメモリの数値と何の関係もないので注意が必要。
ピントを合わせる
ピント合わせのための撮影していく。ポイントはいくつかあって、
- AF測距点を1点にする
- 絞りは開放(F値を小さくする)
- 出来ればマニュアルモードで撮影する
- カメラは三脚で固定する
- カメラとテストチャートは水平を取り、一直線上に合わせる
- テストチャート~カメラの距離は、レンズの焦点距離×10を目安にする
- 大きくピントを外したあとにAFを利かせる
など。
またピントは必ずテストチャートの目盛り付近かつ目盛り上でない場所に合わせる。ちょうど図で示すあたりにAF測量点をおくといい。
EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMのピントを調整する
まずは80DのキットレンズであるEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMのピント調整をする。
広角側(18mm)
まず広角側(18mm)で撮った写真がこれ。ぱっと見じゃよくわからない。
なのでカメラの液晶画面やパソコンを使って等倍まで拡大。そのままでもあんまりずれている感じがしない。さすが純正レンズ。
望遠側(135mm)
望遠側も同じように撮影後に拡大して確かめてみる。こちらもピントの当たり方に大きな問題があるようには見えない。
EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMは調整なし
EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMは広角側・望遠側共に問題なかったので調整しなかった。
TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005)のピントを調整する
続いて望遠レンズであるTAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005)のピント調整を行う。特にこのレンズを使用しているときに、なんだかピントが合っていないような気がするなぁということが多く起こるので、念入りにチェックしたい。
広角側(70mm)
未調整状態だとこんな感じ。なんだかモヤッとしているような気がする。
拡大してみてみる。目盛りのゼロ点は少しボケていて、-2~-3ぐらいのところにピントが来ているように見える。かなり前ピンだ。
調整後
調整後がこんな感じ。全体的に手前よりも奥側のほうがボケるのでまだ前ピンなような気がするが、かなりピントが合ってテストチャートの模様もクッキリ見えるようになった。
望遠側(300mm)
望遠側も広角側と同じようにかなり前ピン。望遠にすると被写体深度が狭くなるのでピントが合っているかどうかがわかりやすい。
調整後
調整後がこんな感じ。きれいにゼロ点にピントが来た。
TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005)は前ピンだった
広角側・望遠側ともに+12に設定するとピントがパリッと来た。調整範囲の±1ぐらいの差は正直いまいちわからないなぁってところもあったので、数値は3~5ぐらいの範囲でガバっと変え、再撮影したのちに微調整すると分かりやすかった。
最後に試し撮り
調整した後は、テストチャート以外のものを適当に試し撮りをしてみる。ズームレンズの場合は様々な焦点距離で撮影してみるといい。
新しいレンズ購入時はもちろん、定期的な調整が吉
もちろんもっと正確にやりたければメーカーのサービスセンターにカメラとレンズの両方を送って調整してもらうのが一番確実なのだけども、テストチャートを使えば割と手軽にAFの微調整ができる。
新しいレンズを買った時はもちろんのこと、レンズを使っていくと部品の摩耗でピントが微妙にずれていくこともあるようなので、1年ごとなどの定期的な調整がオススメだ。
なお今回の調整にはstudio9の記事を参考にさせていただいた。さらに詳しく知りたい人は見に行ってほしい。
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