動画コンテンツを作ろうと思ったときに、意外と問題になるのがマイク。人の声を収録しようと思ったとき、音質が悪いと途端に視聴に耐えなくなってしまう。その上マイクとカメラが優先で接続されていると、線があることがそもそも撮影の邪魔になるばかりでなく、配線が揺れることでノイズが映像に乗って最悪になることも。
というわけでマイクのワイヤレス化を行いたくなるのだが、ただ音声を飛ばすだけ(?)なのに意外と値が張る物が多い。2人で会話している様子を取ろうと思うと2chは欲しいが、そう思うと更に価格が上がって手が届かなくなってしまう。うーん、どうしたものか…。
SYNCO G2(A2)
そんな風に悩んでいた僕が見つけた製品がこれ。
SYNCOという中国ブランドのG2(A2)というワイヤレスマイクだ。SYNCOは2017年に中国で設立されたオーディオブランドで、このG2は2.4GHz帯を使って音声をワイヤレスで飛ばすシステム。
1世代前のG1というモデルも併売されており、そちらのほうが価格的には安くてお得感がある。G1とG2の主な違いはディスプレイの有無で、G2のほうが接続状態や入力されている音声の大きさなどをディスプレイ上で確認することが可能。僕は確実に音声の入力状態を確認したかったのでG2を選んだ。
箱の中からは収納用のセミハードケースと取扱説明書が出てくる。取扱説明書は日本語版も付属。
付属品は、
- 送信機×2
- 受信機×1
- 三叉の充電ケーブル×1
- 3極のカメラ用接続ケーブル×1
- 4極のスマホ様接続ケーブル×1
- ピンマイク×2
- ピンマイククリップ×2
- ピンマイク用ウレタンウィンドジャマー×2
- 直付け用ウィンドジャマー×2
- リセットボタンを押すためのピン×1
- 収納ケース×1
- 取扱説明書
とかなり充実。これ一つ買えば基本的になにか別のものを買い足す必要が無いのが嬉しい。そして全て収納ケースに収まるようになっている。
ちなみにスマホ用とカメラ用の接続ケーブルを間違えて接続すると正しく音声を入力することができないので注意。ケーブル側にきちんとマーキングがしてあるのと、カメラ用はコイル状になっているので間違えにくい工夫はされている。
スペック
送信機のスペック
伝達方式 | デジタル2.4GHz |
周波数帯域 | 2400-2483.5MHz |
応答周波数 | 20-20000Hz |
伝送距離 | 150m(障害物なし) 50m(障害物あり) |
マウント | 小型クリップ |
オーディオ入力端子 | 3.5mm TRSマイク入力 |
オーディオ入力レベル | 1V(0dBV) |
バッテリー | リチウムイオン電池 500mAh |
充電時間 | 1.5時間 |
連続使用時間 | 8時間 |
ディスプレイ | TFTスクリーン |
寸法 | 52×42×17mm |
素材 | プラスチック |
重量 | 39g |
受信機のスペック
伝達方式 | デジタル2.4GHz |
周波数帯域 | 2400-2483.5MHz |
感度 | -81dBm |
伝送距離 | 150m(障害物なし) 50m(障害物あり) |
チャンネル数 | 2つ |
オーディオ出力端子 | 3.5mm TRSマイク出力 3.5mm TRSヘッドフォン出力 |
ゲイン | 0~5レベル調整 |
オーディオ出力レベル | ラインアウト:1V モニタリング:25-30mW |
バッテリー | リチウムイオン電池 500mAh |
充電時間 | 1.5時間 |
連続使用時間 | 8時間 |
ディスプレイ | TFTスクリーン |
寸法 | 52×42×17mm |
素材 | プラスチック |
重量 | 39g |
マイクのスペック
タイプ | 内蔵マイク/外部ピンマイク |
オーディオチャンネル | モノラル |
集音パターン | 全指向性 |
周波数範囲 | 50-20000Hz |
感度 | -40dB (±3 dB, re 1V/Pa at 1KHz) |
最大SPL | 135dB SPL (at 1KHz) |
Amazonの販売ページだと伝送距離が30~50mになっているが、説明書やSYNCOの公式サイトだと50~150mと、G1よりも広範囲になっている。連続使用時間が8時間もあるので、充電しておけば基本的にその日は電池の心配をしなくて済むはず。
コンパクト&軽量で、クリップオンの取り付けも簡単
受信機・送信機ともにかなりコンパクトかつ軽量なので、持ち運びに支障は無い。特に人に取り付ける送信機でそれは重要な要素となるが、ズボンのポケットに突っ込んだりしても膨らみがそこまで気にならない程度のサイズ感なのが嬉しい。裏面にはクリップがあり、衣類やベルトに挟むことで固定もできる。
送信機(マイク側)は、上部にマイク、右に外部マイク用の入力端子・TypeC端子・電源/ミュートボタン、左にはローカットやペアリング用のボタンが備わる。
受信機は左側面にTypeC端子と電源ボタン兼ステレオ/モノラル切り替えボタン、右側面には各チャンネルのレベル調整ボタン、上部にはラインアウトとヘッドフォン用の端子が備わる。このヘッドフォン用の端子で入力されている音声を確認できるのが嬉しい。
クリップの横幅はカメラのホットシューにピッタリサイズなので、このように一眼レフの上部に取り付けて簡単に使用できる。このおかげでかなりスマートに機材をまとめられて便利なのだが、ケーブルの取り回しには少し気をつけていないと、風で揺れたり画面がうまく確認できなかったりすることもある。このへんは各々の環境次第なのでなんとも言えない。
3つも充電するのめんどくさいな~と僕も思っていたのだが、付属の充電ケーブルは三叉なので、一つのUSB充電器から一度に充電できる。これが超便利。充電時間も最大で1.5時間、通常であればもっと短いので、使いたいときにサクッと使えるのが嬉しい。
付属または内蔵のピンマイクは、めちゃくちゃ音声にこだわりたい人にはオススメしないものの、YouTubeにアップするぐらいであればこれで十分といった感じの仕上がりになっている。少なくともカメラに内蔵されているマイクよりもずっと性能がいいことだけは間違いない。
ただ全指向性なので、周辺環境の音も入ってしまうことは注意が必要。またホワイトノイズはわずかにあるものの、設定やBGMでごまかせる程度なので、そこまで気にするほどでもないと個人的には思う。
ほぼ電源を入れるだけの簡単操作
送受信機の電源をONにすれば、自動的にペアリングされて接続できる。基本的には、電源さえ入れればワイアレスマイクとして即使用できる。
送信機には現在それ自身に入力されている音声レベルが、受信機には各々の送信機から送られてきた音声のレベルが表示される。なので音が入っているかどうかはひと目で確認できる。ペアリングされているかどうかの状態も送信機に表示される。
ちなみに、受信機の設定を変えることで2つのチャンネルからの音声をステレオにするかモノラルにするかを切り替えることができる。ステレオにすると、送信機Aの音は右、送信機Bの音は左に割り当てられるので、後から動画編集ソフトなどを使って音声レベルを調整、それをモノラルにまとめて書き出し、などの自由度を高めることができる。
また送信機のローカットボタンを押すと150Hz以下がカットされる。周辺環境のせいで音がこもりがちな場合に有効なうえ、ボタン一つで切り替えられるのが嬉しい。ただカットする周波数は選べない。
高音質化するにはカメラとレシーバーの音声レベル調整が重要
取扱説明書にしっかりと記載されているのだが、なるべくいい音で撮ろうと思ったときはカメラとレシーバーの双方で音声レベルを調整する必要がある。説明書に記載されているコツとしては、
- カメラの録音レベルを1/2~1/3程度に下げる
- 必要な音量までG2の録音レベルを上げる
となっている。実際にやってみたところ、カメラ側のレベルが高いときよりも低いときのほうがノイズが少なく、非常にクリアに感じられた。ここの調整だけ事前にしっかり行っておけば、かなり品質の高い音声を取ることが可能なはず。
電波状態は十分に良い
動画撮影をする上でそこまでカメラから遠くに離れるということはめったに無いはず。実際に試してみたところ、常識的な範囲であれば音声が途切れることはなく、確実に動画内に音声が入っていた。壁の裏側に隠れても問題なしなので、様々な表現ができるのではないかと思う。
ワイヤレス化で撮影の自由度が格段にアップする
SYNCO G2(A2)は
- 電源を入れるだけで使える手軽さ
- 一目見るだけで状態が確認できる明瞭なディスプレイ
- 左右でレベル調整可能、ステレオ入力で後から調整もできる
- 良好な受信感度
- 豊富で使える付属品
- 低ノイズで質の高い録音
と、とにかく手軽にワイヤレスマイクを導入したい人にとって最適とも言えるパッケージの商品だった。当然だが、1台しか送信機の電源を入れなかった場合には1chのワイヤレスマイクとしても使える。1chのG2(A1)とは多少価格差があるので撮影したい動画に合わせて選択すれば良いとは思うが、拡張性から考えてもG2(A2)を選んで損はないようにも思う。そもそも類似の民生用ワイヤレスマイクに比べて価格が半分程度。動画撮影のレベルを一段上げたい人にオススメの一品だ。
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